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3.調査結果の概要

(1)広瀬川の現況

 文献調査の結果より、広瀬川の現況として、特筆すべき点を以下に列挙する。

1.広瀬川及び流域の形状・形質

  • 広瀬川は、標高1,500mの船形山より流れ出で、名取川と合流し、合計51kmの距離を流れ、仙台湾に注ぎ込む。流域面積は、仙台市の市域面積の1/2近くを占める。
  • 広瀬川の全流路・全流域は、仙台市の行政区域で完結する。また、中流域の段丘面に市街地が発達し、市街地の瀬と淵、自然崖等を目にすることができるという、他の大都市の河川にはない特徴を持つ。
  • 東北地方の生態系ネットワーク(連続した生物生息空間)の背骨を奥羽山脈とすれば、奥羽山脈から仙台湾に到る広瀬川とその水辺は、生態系ネットワークの肋骨にあたる。
  • 広瀬川の河川敷は、下流域を中心に約180haが畑地に、中流域・下流域を中心に15.5haが公園等に利用されている。

2.広瀬川の水質・水量

  • 広瀬川の水質は、生活排水の流入等により、1970年代初めをピークに著しく悪化したが、「広瀬川の清流を守る条例」の制定(1974年)等により、目覚しい改善を見せ、現在に到る。
  • 浮遊性汚濁物質については、降雨後の増加が顕著であり、上流部を中心とした森林伐採や開発に伴う土砂流出等の影響として危惧される。
  • 広瀬川の水量は、広瀬橋付近の年平均流量でみる限り、ここ40年間での大きな変化は見られない。しかし、5月の灌漑期には著しい流量の低下が見られ、河川生態系が維持される上での流量の確保が課題となっている。
写真1 広瀬川の源流部 写真2 鳳鳴四十八滝
写真1 広瀬川の源流部 写真2 鳳鳴四十八滝
写真3 苦地橋から上流を望む 写真4 四ツ谷堰付近から下流を望む
写真3 苦地橋から上流を望む 写真4 四ツ谷堰付近から下流を望む
写真5 広瀬橋から市中心部(上流)を望む 写真6 千代大橋
写真5 広瀬橋から市中心部(上流)を望む 写真6 千代大橋

3.広瀬川流域の植生・植物

  • 広瀬川流域は、市街地・造成地14%、農耕地14%、植林地12%、二次林32%、自然林25%、その他水面等3%で構成される。中流域を中心に、農耕地・植林地・二次林の宅地化が進行し、流域内の市街地面積が増大傾向にある。
  • 広瀬川及び流域は、標高差が著しいことなどから、上中流域に広がる広葉樹林から下流域の湖沼の水生植物、河口部の河岸砂丘植物等、多様で豊かな植物相を有している。流域で確認された維管束植物(種子植物及びシダ植物)は合計141科1,333種を数える。
  • 東北地方を代表する原生的な自然であるブナ林が、広瀬川流域面積の22%を占める。また、広瀬川の上流域が幅広いことから、仙台市内のブナ林の約7割が広瀬川流域に存在している。

4.広瀬川流域の動物

  • 植物と同様に、広瀬川及び流域の生息動物も多種多様である。例えば、魚類では、32科72種の生息が広瀬川流域で確認されている。北方系の魚と南方系の魚の分布は、仙台付近を境にしているという報告もある。
  • 広瀬川及び流域には、日本固有種であり、清流にしか生息しないカジカガエル、天然記念物のニホンカモシカ、食物連鎖のピラミッドの頂点に位置するオオワシ・クマタカ・チョウゲンボウなどの猛禽類等が生息し、流域の自然度の高さを象徴している。
写真7 カジカガエル 写真8 広瀬川の鮎釣り風景
写真7 カジカガエル 写真8 広瀬川の鮎釣り風景
図3 クマタカの生息地 図4 ニホンカモシカの生息地
図3 クマタカの生息地 図4 ニホンカモシカの生息地

5.広瀬川の景観

  • 広瀬川の中流域では、市街地から間近に、中流域特有の川の屈曲と自然崖に代表される河川景観を見ることができる。「広瀬川の清流を守る条例」による環境保全区域指定により、河岸の緑も保全されている。また、市街地に架けられた10ヵ所ほどの橋が、河川景観のビューポイントとなっている。
  • 広瀬川の上流域においては、不動ノ滝や鳳鳴四十八滝等の大小の滝が連なり、迫力のある景観を呈している。下流部では、河川敷を広大な耕地が占め、典型的な平地河川景観が広がっている。

6.広瀬川流域の水循環

  • 本調査での推計によると、広瀬川流域への年平均降水総量は462百m3であり、そのうち362百m3が広瀬川に流入しているものと推計される。広瀬川の水は、発電用、上水道用、工業用水用、農業用水等に利用され、発電用を除きそのほとんどが川に戻されない一方的な利用形態となっている。その取水量合計は419百m3と推測される。仙台市の産業及び生活は、広瀬川の水に大きくに依存していると言える。
  • かつては、広瀬川から導水し、市街地内を縦横に流れる四ツ谷用水があり、現在とは異なる水循環が存在していた。同用水の総延長は、最盛期で約44kmとされ、広瀬川の本流に匹敵する長さであった。
写真9 三居沢発電所導水路 写真10 六郷堀・七郷堀の取水口
写真9 三居沢発電所導水路 写真10 六郷堀・七郷堀の取水口

7.広瀬川流域の水文化

  • 広瀬川は江戸時代より、上流から木材を運ぶ木流しや物資輸送など、仙台城下の水運として活用されてきた。また、広瀬川にまつわる多くの年中行事が行われていた。これらは、厄払いや供養の意味を込めて、水で洗うあるいは水に流す行事が多い。
  • 現在でも、芋煮会や仙台七夕花火祭、広瀬川灯ろう流し大会等の年中行事が行われている。また、「市民吟行会」や「市民探鳥会」等の市民参加型の催しも毎年開催されている。

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