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3.調査結果の概要

(4)事業展開に向けた課題と方向性

 (1)〜(3)の調査結果から、今後事業の展開において活かしていくべき広瀬川の魅力や特徴、改善・解決していくべき広瀬川の課題を概括的に整理する。
 さらに、本事業は、市民協働によるアクションプランの策定と推進を基本とすることから、その方法等に関し重要と考えられる視点を整理するとともに、今後の取り組みのあり方について示す。

1.広瀬川の魅力と課題

  • 市民協働のアクションプランを策定し、広瀬川との関わりを通した地域づくり・まちづくりの活動を市民協働で展開していく際に、活かしていくべき広瀬川の魅力や特徴を次のとおり整理する。
    完結する川
    行政区域の中で、源流から河口までが完結する
    大自然との連結
    奥羽山脈から分岐する生態系ネットワークとしての川筋
    街に近い自然
    市街地と近接し、蛇行する中流域の形状、自然度の高い河川などを有する
    発展の礎
    広瀬川からの導水が仙台の発展を支え、今なお多くを広瀬川に依存している
    仙台のイメージシンボル
    市民の8割弱が仙台市のシンボルと考えている
    市民活動のフィールド
    広瀬川の自然や清流を守り、親しむ活動が古くから積み重ねられてきた
    年中行事の舞台
    花火大会や芋煮会の会場として、市民の憩い・楽しみの舞台となっている

  • 前述のように、多くの魅力や特性を持つ広瀬川であるが、今後、改善・解決していくべき課題が数多くある。今後改善・解決していくべき課題を次の6つの観点から整理する。
    安全・安心の確保の観点から
    自然の恵みと脅威をあわせ持つ川の治水と管理の問題
    環境保全の観点から
    流域の土地利用に起因する濁水・生態系にも影響を及ぼす低流量問題
    水文化の継承の観点から
    子供が川で遊ぶ文化の衰退
    行政施策の観点から
    広瀬川に関する多数の計画・計画実現の困難性
    市民活動団体に対する観点から
    市民活動団体間の連携と若い世代の活動への参加促進
    市民に対する観点から
    広瀬川との関わりの希薄化、若い世代における関心の低さ

2.今後の取り組みのあり方

広瀬川を通じた“縁結び”の視点

  • 川は多様な要素を結節させる(結ぶ)装置としての特性を持つ。結節の対象は、上流と下流、大気と地表・地下、森と街と海、生き物と生き物、生き物と人、人と人、市民活動団体と企業・行政・大学、そして過去と現在・未来と様々である。こうした川の持つ特性を見失い、個別要素に分断していることが、今日の川に係る問題の本質的な側面である。
  • 一方、川の持つ結節的な特性を積極的に活かし、“縁結び”を図ろうとする試みが各地で展開されている。例えば、全国各地で市町村や都道府県の境を越えた流域での取り組みが進められている。また、漁業者が上流の森を育てるという魚付きの森の整備、生き物の生息回廊としての河畔林の整備、河岸での生き物とのふれあいの場・機会の創出、川に関わる活動を通じたNPOのネットワーク化、伝統的な水文化の再生事業等も進められており、本市の広瀬川関連市民活動団体との情報交換や連携を持っている団体がある。これらの“縁結び”ともいうべき活動は、川の持つ問題を改善・解決する手段でもあるが、それ自体が生活の豊かさを創出していく上での目標ともなる。
  • 広瀬川についても、様々な要素を結節させる装置として、積極的に捉えることで、様々な側面での“縁結び”を展開していくことが可能である。特に、仙台の象徴性が高い広瀬川は、市域の多様な要素を結び直せる大きな可能性を持っている。
  • 広瀬川を通じた“縁結び”は、特に次のような側面で期待される。
    自然と自然の縁結び
    奥羽山脈から太平洋まで生態系ネットワークの連結
    自然と人との縁結び
    子どもの自然の中での遊び体験と大人の自然とのふれあいの促進
    水循環と人の縁結び
    川流域の水循環と生活・生業、土地利用との健全な関係づくり
    人と人との縁結び
    上流と中流、下流までの地域住民や市民活動団体の連携・協調
    歴史と未来の縁結び
    広瀬川とともに歩んできた歴史の21世紀への継承
    地域内外の縁結び
    仙台市のシンボルとしての他地域・海外へのアピール

取り組みの具体的なあり方

  • 「めがね」の共有 〜広瀬川に関する将来目標(ビジョン)と共通課題(ミッション)
    • 事業の展開に向けたアクションプランの策定や活動を市民協働によって進めるためには、「めがね」の共有が重要。
    • 各主体は、各々異なった役割や意志・価値観、目的・目標を持って活動しているが、総合的・長期的に見ると、市民に支持される共通の目的・目標に向かって進んでいる。これを明確な「将来のビジョン」、「市民共通のビジョン」として位置づけていくことが必要。なお、共通の課題や個別の課題も含め、関係主体や市民が広瀬川及びその流域、さらには地域全体の課題や将来の方向について議論・検討し、将来ビジョンをつくるべき。
    • 検討に当たっては、各主体がそれぞれの活動の持ち場意識から一旦離れ、広い視野で、広瀬川そのものやその流域、あるいは地域全体を考えて、各々の関わりを再整理・再構築する。
    • 広瀬川に対する無関心層、とりわけ若年世代に広瀬川への関心を高めてもらう。活動への参加・参画の意義や動機付けとなる「共通の課題」があることを認識してもらうような工夫が重要。

  • 「仕組み」の設置: 〜行政・市民が協働するための組織と市の広瀬川総合担当組織の創設
    • 市がその役割として行うべき広瀬川に係る事務事業を進めるための「庁内の横断的な組織」、行政と市民活動団体・市民が、アクションプランの点検・見直しなどのマネジメントも含め、「協働作業を行うための組織と運営の仕組み」づくりが必要。
    • 広瀬川が「市民の川」として、仙台のシンボルであり続けるように、広範多岐にわたる活動を多くの関係主体の協働の下に展開していくためには、市民協働のアクションプラン策定の時期を見据えて、市役所内に仙台市の広瀬川関連総合窓口とアクションプランを推進していくための担当組織、「(仮称)広瀬川市民協働管理課(室)」の創設を検討すべき。

  • 「仕掛け」の展開: 〜広瀬川に関する情報提供と参加・参画の場や機会の創出
    • 多くの市民に広瀬川に関心をもってもらうことや活動に参加・参画してもらうためには、行政や市民活動団体等が実施している従来からのイベントに加え、新たな市民の参加・参画意欲をわかせる斬新な体験型イベント等の工夫が必要。それら通じて、まちづくりや市民生活との関わりなどの様々な意義や情報の積極的な提供や、その魅力に体験を通して触れてもらう仕掛けが必要。
    • この際、例えば広瀬川に関する活動実績や専門的な情報に詳しい市民活動団体が講師やガイド役を務めたり、上流・中流・下流や広瀬川流域の支流河川等それぞれの特性に応じ、それを得意とする活動団体が役割分担したりするなどの工夫や、活動範囲や掌握範囲の責任を自ら定めて取り組む、いわゆるアドプト制度なども検討が望まれる。
    • 市民や活動団体、企業等からの広瀬川に関する文字や画像の情報が登録でき、閲覧することができる「広瀬川ホームページ」や「電子掲示版」の創設、市民活動団体や市民等が活動報告や課題等について議論する場としての「定期的なフォーラム開催」など、「舞台」の提供をも仕掛けとして組み込むなど、参加・参画や関心を惹起する仕掛けの検討が必要。

  • 「舞台」の整備: 〜広瀬川との市民のふれあいや活動を行う空間の再構築や拠点施設整備
    • 「広瀬川自然博物園」のような市民のふれあいの場をさらに発展させる新形態として、青葉山や橋や公園や街並みなどの要素と、関連する広瀬川の部分各所とで形成する一定の地域を「地域公園や地域ミュージアムのような空間」として再構築していくことが望まれる。
    • 広瀬川と市民とのふれあい、仙台市のシンボル・観光資源などとしての紹介やPR、広瀬川にまつわる文化や環境に関する教育・学習、あるいは活動主体間の情報交換や協働を進めるための場として、既存の施設等の積極的な位置づけと活用、「新たな拠点施設の整備」の検討が必要。
    • この際、広瀬川全体の保全・活用の方針に基づき、「めがね」「仕組み」「仕掛け」「道具」を踏まえつつ、ソフト面の活動とのリンクを考慮し、広瀬川と市民とのふれあいの場、環境学習の場などとして整備すべき場所について、関係主体の合意を得ていくことが必要。「舞台」の運営管理をNPOその他の市民による管理や、行政との役割分担による協働管理などの手法を検討すべき。

  • 「道具」の導入: 〜活動を円滑に、充実したものとして継続するための手法
    • 事業の展開や活動を円滑に、充実したものとして継続していくためには、仕組みや仕掛けや舞台に動きを与える「道具」や、素材を調理・加工し、装飾したり演出したりするための「道具」が必要。
    • アクションプランの目的・目標達成のため、実施主体や具体的手法ごとの実施時期等を盛り込んでスケジュール化したプログラムを作成することが必要。
    • その中には、専門的な事柄を誰にでも分かりやすく、面白く、楽しいものとして理解してもらうためのプログラムや進め方の工夫、遊び感覚や娯楽感覚で広瀬川の魅力や自然体験ができるプログラム、広瀬川に関するより専門的な調査、まちづくり・仙台の文化などとの関わりをより専門的に学べる、子どもから大人まで多様な市民の参加・参画ができるプログラムも含め、「仕掛け」と併せた検討の必要。
    • 多様な市民の参加・参画の誘導、継続した取り組みのために、例えば、野鳥・水生生物・自然観察、河川愛護・環境美化、水質保全・水循環・利水資源、観光・見所スポット、釣り・カヌー・川遊び、歴史・昔話・文化、まちづくり・景観、漁業・農業などといった分野別の「道具」が必要。

  • 「素材」の整理: 〜広瀬川の魅力や市民活動の面白さを一層増すための工夫
    • 広瀬川の魅力や市民活動の面白さを一層増すためには、広瀬川に関して専門家が持っている知識や情報、市民活動団体や行政がこれまでに蓄積してきた調査の結果、情報等を再整理し、共有・活用がよりしやすい工夫が必要。
    • 多くの市民が多様な感性や価値観を通して蓄積している広瀬川の魅力や見所情報を新たな素材として提供してもらう工夫と情報の整理・共有化。
    • 本市も含めた関連行政機関、市民活動団体等が、今回のアクションプランづくりやその推進を市民協働で進めることを通し、新たなネットワークの形成と各々のノウハウやスキルを高める。

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