第2回 地下鉄東西線 広瀬川橋りょうのデザイン

ここまで工事が進んでいることに驚きながら、いろいろと見て回っているうちに一つの疑問が。地下鉄なのに、なぜ広瀬川の地下を通らず、橋を架けて地上を走ることにしたのでしょうか?担当者の方に話を聞くと、次のような答えが返ってきました。

【広瀬川橋りょうの上から】

Q.広瀬川の地下を通るのではなく、橋を架けることにしたのはなぜ?

「広瀬川と青葉山では約130メートルの高低差があり、トンネルは約6パーセントの勾配となっています。6パーセントの勾配は(東西線が導入する)リニアモーター式鉄道が安全に登れる限界の勾配。もし、広瀬川の地下を通ると青葉山駅が極端に深い駅となり、地下鉄の駅として非常に利用しにくくなってしまいます。また、途中の川内駅と国際センター駅も深くなり、建設費が高くなってしまいます。
そこで、広瀬川に橋を架けて川内駅と国際センター駅を地表に近い位置につくることにより、青葉山駅をできるだけ浅くすることで利便性を向上し、建設費も抑えています」

【研究レポートvol.14より】

橋をつくるに当たってはまず、市民や有識者による「広瀬川橋梁検討委員会」を設置。そこで景観検討に向けた意見を取りまとめ、設計競技によりデザインを選定することになりました。さらに、学識経験者やデザイナーなどから構成する「広瀬川橋りょうデザイン選定委員会」を設置し、平成19年2月にデザインが決定。経済性や構造性だけでなく、景観を損なわないかどうか、川の流れを阻害しないかどうかなど、多角的な視点から橋のあり方やデザインについて検討した結果、このような形になりました。

【西公園高架橋の下】

ゲリラ豪雨などの大雨が増えている昨今、気象予報士の立場からすると、川の増水に橋が耐えられるのかどうか心配なところですが、「広瀬川橋りょうの橋桁は計画高水位よりも高い位置にあるため、大雨で広瀬川が増水しても橋りょうが流されることはありません」とのこと。また、駅の出入口は歩道面から15センチ程度高く設置したり、出入口に高さ60センチの止水板を備えたりして、大雨に対する対策を施すそうです。

【マサくんの撮影の様子】

広瀬川橋りょうを挟んで、川の上流側には仲の瀬橋、下流側には大橋があり、異なる時代に作られた3つの橋が並ぶ形に。地下鉄に乗って車窓からそうした風景を楽しむのもいいでしょうし、車両と橋、それに広瀬川を構図に入れて撮影するのも写真好きにとってはたまらないでしょう。

【広瀬川橋りょうから望む仲の瀬橋】

【広瀬川橋りょうから望む大橋】

東西線の車両のデザインコンセプトは「自然と調和し、伊達の歴史を未来へつなぐデザイン」。車両の側面上部には空と川、それに海を表す青のラインが、側面中央部のスクエアドットには、水の青、青葉の緑、街の活気や人の温かさの黄・オレンジが配色されています。

【仙台市役所1Fに展示している模型】

青空が広がる中、そうした車両が走る風景を撮ってみたい!そして、乗ってみたい!見学しながらそんな想いに駆られました。

※駅名は全て仮称です。