vol.4 広瀬川にちなんだ正月行事体験

4回目となる今回は、仙台の正月の恒例行事を体験!餅をついて雑煮を味わった後、仙台伝統の凧を作って凧揚げをしました。正月は岩手県の実家で過ごしてきましたが、仙台でもまた正月気分を満喫♪その模様をお伝えします。

お餅つき

お邪魔したのは、若林区の六郷市民センター。僕が到着すると餅米はすでに蒸されていて、つくばかりの状態になっていました。その光景を見て「よしっ!やるぞ~!!」と自然と気合いが(笑)実家にも臼と杵があり、年末に帰省する度に餅つきを手伝っているのでお任せ下さい!
同じ敷地内にある児童館の子どもたちと一緒に餅つき。今は機械で餅をついたり、スーパーで販売されている餅を買って食べるのが当たり前。餅つき経験の少ない子どもたちは初めこそ戸惑っているようでしたが、身体いっぱい使って一生懸命ついてもらいました。つき始めて15分くらいで立派な餅が完成!この餅を雑煮にして食べます。

アユを使った仙台雑煮

仙台の雑煮というと焼きハゼを使ったものが有名ですが、清流・広瀬川のアユを使った伝統的な雑煮もあるのだとか。フードコーディネーターの八巻美恵子さんに協力していただき、アユの雑煮を作ってもらいました。
 焼いて天日干しにしたアユでだしを取り、そのアユを一匹丸ごと雑煮に入れます。見た目からしておいしそうなアユの雑煮。生臭さがないかどうかちょっと心配でしたが、口に含むと非常に上品な味わいで、これまでの雑煮とはまた一味違うおいしさでした。雑煮に一緒に入っていた地元産の大根や人参などもまた味を引き立てていて、まさに仙台の自然の旨みが凝縮された雑煮!つきたての餅も柔らかく、ほっぺが落ちそうなくらいでした。僕の拙い文章ではこれ以上、おいしさをうまく伝えられませんので、食べたことがないみなさんは思い思いに想像を膨らませてみてください(笑)
 ちなみに、伊達政宗公が食べていた雑煮の食材はアワビにニシン、ナマコ、大根、ゴボウ、豆腐、黒豆、菜の茎の8品だったとか!これまた何とも豪華な雑煮ですね。食いしん坊の僕は、こっちの雑煮も食べてみたくなりました…。

→「マサくんの広瀬川体験フォト」アユ雑煮レシピ

仙台伝統の凧「するめ天ばた」

雑煮で腹を満たした後は、凧作りに挑戦。今回作るのは、江戸時代から仙台に伝わるとされる、干しするめの形をしたその名も「するめ天ばた」です(「天ばた」とは宮城県の方言で「凧」のこと)。

凧作りを教えていただいたのは、するめ天ばたの伝承活動に取り組む「仙台凧の会」の副会長・遠藤茂樹さん。子どもの頃、市販されている凧を組み立てて遊んだことはありますが、一から作るのは今回が初めて。無事に凧が完成するのか、そして天高く揚がるのか心配でしたが、遠藤さんに手取り足取り教えてもらいながら、作成にとりかかりました。

まずは、和紙に絵を描く作業。凧とともに視聴率も上がるようにという願いも込め、TBC東北放送のキャラクター・「ニューニュー」と、僕が出演している朝の情報番組・「ウォッチン!みやぎ」のロゴを描き入れました。筆に塗料を多く付けすぎると和紙がにじんでしまうため、適度な量を付けて描いていきます。
塗料が乾いた後は、凧の命ともいえる竹骨と糸を付ける作業へ。するめ天ばたの大きな特徴のひとつが2本しかない骨。良くしなる竹を使っているため、少しの風でもとらえられるのだそうです。その分、骨や糸を付けるバランスが悪いと凧揚げに大きく影響するということで、遠藤さんの説明を真剣に聞きながら作業にかかりました。
悪戦苦闘しながらも30分ほどで凧は完成!我ながら、見事な出来栄えに仕上がりました。

果たして大空を舞い揚がるのかどうか?広瀬川の河川敷へ移動して凧の会のみなさんと一緒に凧揚げ大会。この日は時折、やや風が吹くくらいの凧揚げには少し難しい気象条件。じっとしていては揚がらないので、とにかく走り回って凧が揚げるようがんばりました。初めはなかなかうまく揚がりませんでしたが、いったん高く揚がってしまえばこちらのもの。上空を流れる強い風に乗り、心地よさそうに空を泳いでいましたよ。これで視聴率アップも間違いなし!?
遠藤さんに話を聞くと、凧揚げをする際にはやはり天気予報を重要視するとのこと。また、出かける前に天気図を自分で分析して、風の吹き方をイメージしてから凧揚げに備える人も多いのだそうです。「凧揚げに適した時間は何時頃ですか?」と質問すると、「“坊主と風は10時から”と言われるように、昼前からがいいですね」との答えが返ってきました。太陽が高く上る日中は気温の上昇に伴って空気の対流が起こるため、上空を吹いている風が地面に下りてきて、風が強く吹く傾向にあります。ですので、朝起きて風が弱くても、雲が早く流れているような時は特に、日中は風が出てくるというわけなんですね。

仙台は西側に奥羽山脈がそびえ、冬型の気圧配置が多い正月の頃は冷たい西風が吹き下りてきやすい特徴があります。また、広瀬川の河川敷など凧揚げに適した場所も多いので、するめ天ばたのような伝統的な凧が誕生したのでしょう。こうした伝統はいつまでも守っていきたいものですね。

今回の取材でご協力いただいた皆さん

○餅つき 工藤秀也さん,間侊一郎さん

今回は臼と杵など道具一式のご準備から,一連の餅つきのお手伝いをいただきました。普段は広瀬川に関する市民活動団体「広瀬川市民会議」の会長(工藤さん),事務局長(間さん)として,広瀬川で開催されるイベントの企画運営や,河川清掃などに取組んでいます。広瀬川で何か活動してみたいとお考えの方は,下記までお気軽にお問い合わせください。

広瀬川市民会議
仙台市青葉区本町二丁目14-26 保坂ビル3階
TEL 022-214-5512/FAX 022-723-1391
E-MAIL hirosegawa@michinoku-kawa.net

○焼きアユの雑煮 八巻美恵子さん

焼きアユの雑煮と仙台伝統野菜「仙台芭蕉菜」を使った浅漬けを調理いただきました。雑煮はもちろんですが,仙台芭蕉菜も大変美味しくいただきました。
フードコーディネーターとして食工房みやふくを主宰し,地元の生産者さんと連携した地産地消のメニュー開発やケイタリングサービス,規格外野菜活用プロジェクトなどを展開しながら,仙台市嘱託職員としても,地産地消や農産物等の商品化などの農林水産業支援も行っています。

○凧作りと凧揚げ 遠藤茂樹さん

凧作りと凧揚げのご指導をいただいた「仙台凧の会」副会長兼事務局の遠藤さん。仙台凧の会は,仙台地方の伝統的な「するめ天ばた」などの普及・継承を行っています。今回は遠藤さんのご協力で,多くの会員の方がいろいろな形の凧を持ち寄って集まっていただき,色とりどりの凧が大空に舞い上がりました。