第3回 サケの遡上と広瀬川の水量

毎年、5000匹前後ものサケが遡上してくる広瀬川。これだけのサケが遡上してくる大都市の川というのも、全国には他にありません。伊藤さんによると、牡鹿半島沖に浮かぶ金華山で二分された潮の流れが仙台湾で合流。真水と海水とがちょうどよく混じり合う条件の良さもあって、広瀬川(名取川)をはじめ阿武隈川や北上川など、宮城県内では遡上するサケが多いのだそうです。

私は仕事柄、毎年のように広瀬川を遡上してくるサケを目にしていますが、見たことがない市民どころか、広瀬川にサケが遡上してくること自体を知らない市民も多いのだとか。伊藤さんは様々な活動を通して、そうした人たちにもサケを見てもらい、仙台市民にとって広瀬川はどんな価値があるのかを考えてもらいたいと話します。

「生活用水としての利用が増えれば増えるほど、川の水量は減ってしまいます。そうなると、サケが産卵する際に必要な小さな砂利の供給が上流部から途絶えるため、サケの数も減ってしまうことに…。川を泳ぐサケの姿を見て、そんなことを考えてもらえればいいですね。」

サケの産卵床について

サケの雌は、尾びれを使って河床の余計な砂利を飛ばして窪地を作り、そこに産卵するそうです。直径90cm・深さ30cm程度で、これを産卵床(さんらんしょう)と呼びます。
握りこぶし程度の大きさの石なら尾びれで弾き飛ばしてしまいますが、河床部が大きな玉石ばかりだと、尾びれで堀ることができず産卵床をつくることが出来ません。