第5回 ものづくりを通して

村山さんがガラス作りに携わるようになってから22年。「自分のスタイルが完成しつつある」と感じるようになったのは、20年が経ってからだといいますから、つい最近のことです。

そんな村山さんの“スタイル”とは、素材からとことんこだわること。
目標は『東北六県はもとより、全国各地にある一級河川の砂を溶かすこと』 と、村山さんは話します。

砂を求めて川を訪ねる際は、事前にインターネットで川の形状を調べ、砂がたまっていそうな場所に目星を付けてからという徹底ぶり。

ここまで砂にこだわる理由はなんですか? 『砂を知ることでその土地を知ることができ、さらに、きれいな環境を守ることにもつながるから。』

去年、各地に大きな被害をもたらした東日本大震災は、この想いをより強くする結果となりました。
『被災地各地の砂を溶かしてガラス玉のお守りを作り、被災者の方々にお渡ししたい―。』そんな計画も村山さんは考えています。

海外へ旅行に行った際、現地の人間から「アーティストに何ができる?」と問われたことが、こうした考えの根底にあるのだそうです。

単に美しい作品を作るだけではない、ガラス作りに対する村山さんの様々な想いを、今回の訪問でうかがうことができました。そんな村山さんの熱い想いを知ったせいか、工房を後にする時に改めて見た作品は、より輝きを増しているように目に映りました。

最後になりますが,私の作ったグラスはこんな感じに出来ました。