『プロフィギュアスケーターとしてのこれから』

●聞き手

プロフィギュアスケーターとしてのこれからについてお聞きします。プロに転向されて2年が経ちますが、アマチュア時代と大きく変わったと思うことは何ですか。

●荒川さん

スケートが好きになりました。(笑)
滑っていること自体に楽しみを感じられるようになりました。他の仕事もあるので、スケートの時間が貴重に思えるようになり、リンクに乗った時に喜びや、楽しさが倍増するんです。アマチュア時代の頃より、真正面からスケートと向き合えている感じがします。スケートに集中する時間がないと、逆に求める様になるんですね。何時であっても、時間があればスケート靴を履くみたいな感じです。

●聞き手

私生活では、生活スタイルは変わりましたか。

●荒川さん

とても不規則になりました。アマチュアの時は、スケート中心にその他のスケジュールを組んでいましたが、今はまず、仕事のスケジュールが中心で、あいた時間にスケートをしています。当然リンクが開いている時間と仕事の時間が合わなかったりすることもあります。そうなると滑るのが夜中や早朝になってしまうこともあるので、何時であっても体が動く状態になりました。最初の頃は抵抗があったのですが、今はどんな時間でも大丈夫です。順応していくのだなと思いました。

●聞き手

スケートは危険が伴うスポーツですし、普通は十分な睡眠を取ってから・・・とか考えてしまいますが・・・順応出来るものなのですか。

●荒川さん

アマチュアを引退して3年近くになりますが、今の生活のリズムになじんできました。アマチュアの時は、新しいプログラムを作ったら準備期間が欲しかったんですが、今は作った次の日から出来るみたいな感じです。
気が緩む休みの日に限って体調を崩してしまいますよね。スケジュールの立て込んでいた後、1日休みが入ると、その1日だけ寝込んでしまったりします。でも、必ず次の日には治って仕事に出るという風に、仕事に穴を開けたことはないんです!不思議なんですよね。

 
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●聞き手

プロになられてやってみたいこと、力を入れてみたいことはありますか。

●荒川さん

常に人がどんなことを求めているのか、その求められていることを出すのではなく、逆の意味で裏切って、サプライズを出していくことが大事だと思うんです。自分が何をやったら新しいのかを常に考えるようにしています。
すぐに出来ることと、準備が必要なものもあるので、そういったものは先延ばしになっていることもあります。フィギュアスケートの中でまだ人が見たことのないようなことをやっていきたいなと思っています。
スポーツの厳しい部分でもありますが、評価が伴わなければ、競技としての意味をなさない…頑張っている姿は評価されるものではないですから。実際、結果を残さなければいけない世界なので、自分のことを客観的に見るということを大学生の頃からやるようになりました。
自分が満足できればいい、自分がうまくなりたいという気持ちが、いつか評価に繋がるのではないかと思っていたのですが、やはり自分を客観的に見た時に、足りない部分から目を背けていたに過ぎないと思ったんです。
そのことに気づいたのはアマチュア時代の後の方でしたけどね。それからは少しずつ評価にも繋がっていくようになりました。「やっているつもりではダメで、誰が見てもやっていると認めるようではないと」とよくコーチに言われたのを覚えています。

●聞き手

曲に合わせてスケートを滑るということは、どんなものなのですか。

●荒川さん

曲に自分から乗ろうとしている時はダメな時で、気づいた時「今日乗っている」と重なる時があるんです。全てが合う時というのは、出だしから気持ちがいいんですよ!
実際は調子が良くなくても、心地よい気持ちで滑り出したら、自然と全ての力が働いて調子が変わっていくことがあります。曲にも空気にも合わせよう、合わせようとしている時は、調子が悪い時です。
自分の中で許容範囲を上げていくことは必要だと思うんです。調子が悪い時でも、最低でもここまではやれるというレベルを上げていくことで、悪い時でも落ち過ぎないでいられます。どうしても天辺のレベルを上げていこうとするのですが、そうではないことに気づいたのも最近です。

●聞き手

改めて、荒川さんにとって仙台とはどんな存在ですか。

●荒川さん

落ち着くところです。住みたい、過ごしたい街ですね。今は仕事の都合上、利便性を求めて東京にいますけれど、仕事も何も考えないですむのなら、仙台は住みたい街ですね。便利でありながら自然と共存できる街だと思います。ほどよく調和されていますよね。

●聞き手

では、広瀬川はどうでしょう。

●荒川さん

仙台の街を象徴しているものだと思いますね。

●聞き手

いろいろな顔を持っていますよね。遊び場だったり、散歩をしたり、景色を楽しんだりできる川だと思います。

●荒川さん

河原も広いところが多いので、芋煮会も楽しめますしね!

●聞き手

市民の方も仙台のシンボルだという認識があるようですが、なかなか本当の広瀬川の魅力に気づいていないところがあるという調査結果もあります。そのようなことから、広瀬川を愛する方々が、その魅力を知ってもらおうといろいろ活動をされていますが、なかなか苦労も多く、一筋縄ではいかないようです。荒川さんから、是非、頑張っている方々にメッセージをいただけますか。

●荒川さん

仙台の街を良い形で、後世に残していくことと同じ感覚で、広瀬川も同じようにきれいに、良いところを出していくことの出来る川だと思うので、いろんな活動を通して、沢山の方に芋煮会を広めていってください。(笑)
他の地域の人が、芋煮会を知らないことにショックを受けたので、これからは知らない人たちにこんないいイベントがあるんだということを伝えていきたいと思います。

●聞き手

この際、全国に芋煮会という言葉を広めて、標準語にしましょう。

●荒川さん

標準語だと思っていましたから。(笑)
川をきれいなままにするために、ゴミを持ち帰るというところまで含めて広めていかなくては・・・ね。

●聞き手

その通りですね。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。