第6回 食材王国でこれからも頑張ります

●聞き手

そうしたアクセスの良さも仙台の魅力ですが、仙台からもう少し広げて、宮城県全体として見ると、「食材王国みやぎ」という魅力もあると思います。そのへんについてもお話をお聞かせいただけますか。

●こうちゃん

まずは何といっても新鮮な魚介類が豊富。

●聞き手

今の時期ですとカツオが旬ですよね。

●こうちゃん

カツオも良いですし、これから秋にかけては何と言ってもサンマですよね。サンマの水揚げ量は県単位では一位ですよ。あとこれは全国的な知名度はまだまだなんでしょうけども、塩竃の「東物」のマグロですよね。塩竃では本マグロにも劣らない目鉢マグロが食べられます。あとは松島や三陸産のカキも美味しい。生ガキはあまり大きくてもどうかなと思いますが、ちょうどいいサイズです。そうした魚介類がとにかく豊富ですね。だから、国分町にある普通のお店でも、美味しい魚介類や刺身が普通に食べられるということが、自慢ですよね。

●聞き手

特別なお店に行かなくてもそうした美味しいものが食べられる。

●こうちゃん

これが東京だとお店によっては、とんでもないもの、こんなのスーパーにも売ってないぞっていうようなものが出てきたり。あとは値段が全然違います。都心と比べると仙台の物価は全く違う。旬のサンマなら、刺身で食べられるものが仙台だと100円以下でしょう。

●聞き手

確かに刺身で食べられるサンマが普通にお店で安く手に入ることは珍しいんでしょうね。

●こうちゃん

魚介類だけでなく野菜もいいですよね。パプリカや空心菜など、地物の野菜でも種類が豊富。あるスーパーでは農家さんと提携して産地直送品の取り扱いをしていますが、食材の揃いが素晴らしい。そして旬がしっかり感じられる。こちらで生まれ育った人は普通に思うかもしれませんが、山形出身の自分としては、宮城県はすごく良い所だと思います。

●聞き手

海の幸、山の幸にこんなにも恵まれている。でも、それが普通だと思っているのか、あるいは単にPRが下手なのか、先日「ぐるなび」の調査で、東京での宮城の食の認知度はイマイチだという結果がでていました。

●こうちゃん

宮城県には魅力的な食材はたくさんありますが、それをあまり加工しようとしない。良いものが採れたから、さあそのまんま味わってというケースが多く、加工したり、自分たちで何とか工夫しようとかはあまり考えていないように思えます。名古屋や北海道などを見ていると全く違う。例えば名古屋の名物には,インパクトがあるユニークなものが多いですよね。すごく工夫している。

●聞き手

「あんかけスパ」とか「味噌カツ」などの味噌系グルメなど確かに独特の食文化がありますね。

●こうちゃん

あとは北海道も食材王国ですが、それだけではないんです。例えば、その土地の特産品を素材として売り出すだけではなく、お菓子や乳製品に加工したりと工夫をしながらどんどんPRしている。宮城県でもそういうようにして、町ぐるみ、市ぐるみ、県ぐるみでやっていくべきだと思います。県内でいうと気仙沼ホルモンが良い例だと思います。

●聞き手

すみません、気仙沼にはあんまり行く機会がなくて知りませんでした。

●こうちゃん

テレビなどにも結構出ていましたが、ソースをかけたキャベツと一緒に食べるホルモンで、これをまちぐるみでPRしています。そうした取組みが大切。仙台の銘産品といったら、牛タン、笹かま、萩の月、これらはもう完成されているので、それ以外のものをもっともっと発信していかないと。例えば、宮城県の観光地と言えば松島ですが、観光で訪れた人にただ景観を楽しんでもらって終わりではなく、住民が普段から食べているカキなどの美味しいものと合わせて地域資源を町ぐるみで情報発信していくことが大切です。住んでいる人たちが自分たちの地域の魅力を認識して発信していかなければ、他の人には伝わりようがない。

●聞き手

そのための気付きが大切なんでしょうね。

みんなの力を合わせて

●こうちゃん

だから、あそこに負けちゃ駄目だって言うのでなく、みんなで盛り立ていこうとしないといけないと思います。例えば群馬県の伊香保温泉は、三大旅館が手を組んで温泉地のPR活動をして、素晴らしいまちづくりを行っています。そうした共同の取り組みを、どんどん進めていったらいいと思います。

●聞き手

仙台の温泉街でいえば、作並温泉と秋保温泉が互いに協力しあってPRすると。

●こうちゃん

作並が秋保のPRを、秋保が作並のPRをし、互いに行ったり来たりできるプランをつくったり、他の観光スポットと連携して仙台を巡る、あるいは宮城県を巡るような企画がもっとあってもいい。仙台市は仙台市、宮城県は宮城県というのではなくて。

<参考>鳳鳴四十八滝の紅葉風景

●聞き手

2008年秋のデスティネーションキャンペーンでの取組みのように、仙台と宮城が一体となってPRしていかなければいけないですね。

●こうちゃん

現実には「宮城」より、「仙台」の名前の方が全国的には有名だと思います。宮城から来ましたと言うと、「宮城県ってどこにあるんだっけ」と言われる。でも「仙台から来ました」と言うと、「ああ、広瀬川が流れている仙台ね」と言ってもらえる。「名古屋」もそうですね。「愛知県」より名前が勝っている。

●聞き手

知名度をうまく活かしていかなければいけないですね。

●こうちゃん

そうした面で互いに連携して、みんなの力を合わせながら取組んでいければいいですよね。

●聞き手

では、最後に広瀬川に関わる皆さんにメッセージをいただけますか。

●こうちゃん

今後も地域に根ざして活動を続けていき、仙台・宮城への貢献ができるようにこれからも頑張っていきたいと思います。そして仙台市民の皆さんや宮城県民の皆さんから応援いただきながら、仕事をしていけるなら、これ以上に心強いことはないと思います。仙台・宮城から出た料理研究家として、全国で頑張っていきたいと思っていますので、どうか皆さん応援よろしくお願いします。そして、これだけ良いものが揃っている仙台・宮城の魅力を「食」を通じてこれからもどんどん発信していきたいと思います。

●聞き手

ありがとうございます。ところで、ブログでは奥さまのご懐妊の報告がありましたが、間もなくお子さんも生まれるそうですね。すでにお子さんをお持ちの方から、今後は「こうちゃんの簡単離乳食レシピ」などの要望もすでにあるようですが。

●こうちゃん

子育てについては自分も全く未体験の分野なので、これから勉強していかなければいけないと思っていますし、皆さんから教えてもらうこともたくさんあると思いますので、よろしくお願いします。

●聞き手

そうした意味でも今後もブログを通じて、ますます活動の範囲が広がっていきそうですね。これからのご活躍を祈念申し上げます。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。