vol23. 広瀬川・青葉山近郊の野鳥―2

日本野鳥の会 宮城県支部 坂野恭子さん

仙台市の中心部を流れる広瀬川は、多くの自然の恵みをもたらしています。
そしてその恩恵を受けているのは私たち人間のみではありません。

本稿では、広瀬川と隣接する青葉山に集う野鳥を観察する青葉山探鳥会を中心に、この近辺で観察できる野鳥をご紹介致します。
研究レポートvol22からの続き

■長沼

大橋の上は、風が吹き抜けて、少し身体が冷えました。野鳥観察はじっとしている時間帯がありますから、特に秋から冬にかけては温かい服装がお勧めです。手袋や帽子、ネックウォーマー、防寒靴があればなお良いでしょう。

大橋から博物館の方に戻り左折、長沼にきました。こちらにもオシドリやカルガモがいます。対岸の藪の中で、ジャッジャッと鳴いているのはウグイス。春になるとホーホケキョとさえずるあのウグイスですが、冬場は藪の中に潜んでいて、なかなか姿を見せません。ウグイスというとウグイス餅色の小鳥を思い浮かべるかもしれませんが、実際は茶色に近い地味な緑色で、白い眉斑が唯一のチャームポイント。ウグイス餅のあの緑色は、むしろメジロの色に近いでしょう。メジロもたくさんいますから、出会ったらじっくり見比べてみてください。丸みを帯びた体型に目の周りの白い縁取り、文字通り「目白」です。数羽でチチチチと鳴きながら木々を渡っていきます。

沼に垂れ下がった枝の先にいるのはジョウビタキです。ジョウビタキの渡りで、秋を実感する愛鳥家も多いことでしょう。オスは灰色の頭と黒い喉、オレンジ色の腹部、そして羽を広げた時の小さな白斑が目印です。この白斑から「紋付鳥」と呼ぶ地域もあるようです。縄張り意識の強い鳥で、冬期はオスとメスが別々の縄張りを持ち、他のジョウビタキが縄張りに侵入すると懸命に威嚇して追い払います。ジョウビタキのメスはというと、全体に地味な薄茶色で下腹部と尾が淡いオレンジ色ですが、これがなかなかの美人。くりくりした黒い瞳が本当にキュートです。この辺りで初夏に観察する機会が多い夏鳥のキビタキや、オオルリもオスは鮮やかな黄色や青色をしているのに対してメスは地味ですが、これらの小型ツグミ類やヒタキ科のメス達もジョウビタキのメスと同様、黒い瞳が愛らしい美人さん揃いです。

ジョウビタキ♂