vol25. 川kawa楽raku Love ~ 実践編

~川を楽しむのが好きな人をもっと増やそう!~ 実践編

カワラバン代表 菅原正徳さん

後半は実践編として、おすすめの川遊びを紹介します。水切りやただ川に入るだけでも十分に楽しいのですが、安全にかつ学びの多い川遊びにする秘伝のプログラムです。

■みんなで歩いて川を体感!

興奮状態のままで川に入ると、足元もろくに確認しないでバシャバシャと歩き回るので転倒者が続出します。そういう状態で川に入っていては、いつ怪我をするか時間の問題です。まずは1列になって前の人の肩につかまって歩く「電車」がお勧めです。家族で行く場合は先頭車両の運転手はお父さん、間に子ども、最後尾はお母さんが良いでしょう。体力のない人のペースに合わせてゆっくり進みます。バランスを崩しても前の人につかまっているうえ、後ろでも支えてもらえるので安心して歩くことができます。

はじめの歓声は「キャー冷た~い」などですが徐々に、「石がヌルヌルする」「段々深くなってきたよ」「この石ぐらぐらするよ」「流れが強~い」など、川の中で注意すべきことが自ずと分かってきます。この時に予定している活動範囲を歩けば、それより先にはなぜ行ってはいけないのかがより理解できるはずです。

そしていったん河原に戻ってから感想を確かめるとより良いでしょう。次の行動に移る頃には体も川に慣れ気持ちも落ち着いているはずです。

写真:電車

■いきものの隠れ家を推理して捕まえる!

川で手軽にいきものをつかまえるには網を使うのが一番ですが、網の形には注意が必要です。採取の際に川底との間にすき間をつくらないようにするため、虫取り網のように丸いものではなく、底が平らなかまぼこ型のものが適しています。

初めて網を手にした子どもを観察していると、9割方がやみくもに網を突っ込んで捕まえようとします。このやり方ではまぐれで捕れることがあっても、あまり成果は見込めません。ほとんどのいきものは常に捕食者に見つからないようにしています。したがって、川底の石の下や水際の植物、岸のえぐれなどに身を隠していそうな場所を推測し、怪しい場所を探って行くのが有効的です。

網の使い方にもポイントがあります。一つは網を動かさない事。二つ目は川の流れを利用することです。水際の植物の陰を狙う場合は、岸際と川底との間にすき間ができないよう網を固定し、上流側から網に向かって草の根元を足で踏んづけていきます。川床の石の場合も、狙った石の下流側にすき間ができないように網を固定し、石をひっくり返します。どちらの場合も舞い上がった枯葉や砂などに混ざって、隠れていた魚や水生昆虫が流されて網に入ってきます。

こうやって、自分が狙った場所でいきものをつかまえた時のうれしさは格別です。同行者に自慢したり、じっくり観察をしたいところですが、この時も注意が必要です。川の中で暮らしているいきものたちなので、乾いたものや暖かいものが大の苦手です。乾いた素手でそのままつかんでしまうとすぐに弱ってしまうので、手を濡らしてからやさしく触るようにしましょう。また、バケツなどに入れて観察する場合も、日当たりのよいところに放置しておくと水温が上がり酸欠になってしまうので、こまめに水を入れ替えるようにしましょう。そうすることで観察後も元気なまま流れに返してあげることができます。

写真:魚とり