第5回 四ツ谷用水の魅力とは?

四ツ谷用水の水路を回りながら感じたことは、仙台は「杜の都」であるとともに「水の都」でもあるということです。木々を育てるためには水が必要なため、「水の都」であるからこそ「杜の都」であるのかもしれません。

柴田さんが会長を務める「仙台・水の文化史研究会」は、活断層「長町-利府線断層帯」の活動で地盤が隆起した結果、地下のくぼ地にダムのように水がたまり、江戸期の仙台の城下町に湧水や井戸水をもたらしていたというメカニズムを突き止めました。四ツ谷用水が本流から支流、そして枝流と流れ下りながら地下にも浸透して、仙台城下の豊かな水環境を整えていたのです。

【四ッ谷用水の流路】

河岸段丘の高低差が特徴的な仙台市の街並み。東日本大震災では、仙台市の7割の汚水を処理する「南蒲生浄化センター」が被災しましたが、自然流下の下水道システムが震災後の不衛生状態を起こすこともなく、仙台市民の生活を守りました。そうした意味でも、同じく自然流下の四ツ谷用水が持つ歴史的な価値は、大きな注目に値されるかと思います。

四ツ谷用水の流れの復活を願う市民も多いですが、気象予報士の立場から危惧が一点。それは、地球温暖化などに伴う大雨の増加傾向です。柴田さんによると、四ツ谷用水が城下町を流れていた時代、大雨によって四ツ谷用水が氾濫し、町に被害をもたらしたという歴史的な史料はないそうです。「1時間に30ミリくらいの雨には耐えられたのではないか?」ということでした。今後、本格的な復活を目指すのであれば、水害をどう防ぐかという観点からも検討を進めていただきたいと思います。

【東北各県の激しい雨(1時間降水量30mm以上)の発生回数の変化】