第3回 亜炭の煙はどんなにおい? そして、埋もれ木を磨いてみると…

追廻地区周辺を歩いた後は会場を室内に移して、亜炭の煙のにおいを嗅いだり、埋もれ木を磨いたりする体験をさせてもらいました。

【火を点ける前の亜炭は無臭でした】

【亜炭に火を灯すと・・・】

亜炭が燃料に使われていた時代を知る人が嗅ぐと、懐かしくも切なくなるという亜炭の煙。「郷愁をかき立てるスイッチ」と話す人もいらっしゃるそうですが、果たして、どんなにおいがするのでしょうか?ワクワクしながら煙を嗅ぐと、言葉では何とも表現しづらいにおいが…。すると、脇から豊嶋さんが「田舎の旅館のようなにおいですね」と助け舟を出してくれました。まさにその通りで、嗅いだことがないみなさんも一度、においを嗅げばお分かりになっていただけるかと思います。今回は少量の煙でしたが、これがあちらこちらの家庭や学校などから立ち上っているとなると、当時の仙台市内は結構なにおいだったことでしょう。

そんな亜炭と関わりの深い仙台の伝統工芸品が「埋もれ木細工」。埋もれ木とは、亜炭と同じ層から産出する木の性質を持った良質な亜炭のこと。江戸時代に下級武士が生活の糧として考案したのが始まりとされ、仙台を代表する工芸品になったそうです。今回は薄井さんに用意していただいた埋もれ木を、サンドペーパーで磨く体験をしました。磨く前はザラザラとしていた埋もれ木の表面は、磨いていくうちに滑らかな状態に。木目が綺麗に見えてきたりもして、ちょっとしたアクセサリーのようになりました。

【埋もれ木磨きを体験】
【埋もれ木磨きを体験】

【埋もれ木磨きを体験】

【山形の亜炭坑夫が制作したもの】

仙台市内ではかつて、埋もれ木細工は一家に一つはあるといわれるほど普及していました。しかし、埋もれ木細工を作る職人は、今では最後の一人とお弟子さん一人を残すのみに…。いつまでもこの伝統を守っていってほしいものですね。

【伝統的な埋もれ木細工】
【伝統的な埋もれ木細工】

【伝統的な埋もれ木細工】

以前は暮らしに欠かせない存在だった亜炭。学校での思い出としてダルマストーブの例を挙げる方が多く、「嫌な先生の授業の朝は、わざとうまく燃えないように教室中をいぶして、授業をつぶしたこともありました」と、当時を振り返る方もいらっしゃいます。
地下鉄東西線が開業する今年。青葉山の工事現場でも、立派な亜炭層が見られたということです。なかなか目に触れることがない仙台の地下について、みなさんも関心を持ってみてはいかがでしょうか?

ご協力いただいた皆様

○薄井真矢さん

公益財団法人 仙台市市民文化事業団 学芸員
TEL 022-301-7405(事業課)
FAX 022-727-1874
Mail info@sendaicf.jp

亜炭香古学

○豊嶋純一さん

特定非営利活動法人 都市デザインワークス
Tel.022-264-2405
Fax.022-796-0080
Mail info@udworks.net

せんだいセントラルパーク

○若林きみ記念老人憩の家

仙台市青葉区花壇7-10
TEL 022-214-6775

※埋もれ木磨き体験の会場をご提供いただきました。