第2回 こけしの絵付けを体験

「こけしを作り始めて26年になりますが、まだまだ納得が行く作品ができません。これはもう、一生かかるでしょうね」

【8代目工人 平賀輝幸さん】

そんな平賀さんの話を聞いて、「自分は上手く書けるのだろか?」と不安な気持ちに…。まずはお手本のこけしを見ながら、紙に書いて練習です。目は顔の中心に書くとバランスが良くなることや、筆使いのコツなどを教わりながら書いていきました。

【練習風景】

何となくコツがつかめてきたところで、いよいよこけし本体に絵付けしていきます。

【お手本を見ながら絵付け体験】

ところが、こけしは丸い形を帯びているため、紙で書いていたように筆を滑らかに動かせず悪戦苦闘。平賀さんに「初めてにしては上出来で可愛いですよ」と褒めていただきましたが、思うような仕上がりにはなりませんでした。天気予報を作る時以上に集中力を使ってヘトヘトです(笑)

【完成したマサくんのこけし】

「こけしの出来には、その時の精神状態が反映されるようで、若い頃に作ったこけしは下を向いた物が多かったですね」

平賀さんもこう話すように、こけし作りには手先の器用さはもちろんのこと、精神力も出来栄えを左右する重要な要素となります。芸術的な作業をする上で精神的な安定が大切になることは、これまでの取材を通して様々な方から教わってきました。それは私が趣味としている写真も同じで、どこか集中できないような時はやはり、いい作品を撮るのが難しいものです。

【作並こけしの工人は今や、平賀さんお一人】

作並こけしの工人は今や、平賀さんお一人になってしまいました。「伝統を守るとかいうと、肩におもりが乗っかって来るようで…」と話す平賀さんですが、作並の地で先祖代々、作られ続けてきたこけしを、これからも大切に守っていってほしいと願うばかりです。