春編 第5回 おおっと!

巣箱の様子を確認しながら敷地内を見回っていた大竹さんが、ふと立ち止まりました。

大竹

これはもしかして分蜂か始まるかも…

マサ

おおっと!


大竹さんの元に駆け寄ると、サクラの木の空洞に作ったミツバチの群れが、まさに今から分蜂を行おうとしているところでした。

サクラの木の空洞から、数え切れない程のミツバチがブンブンと羽音をたてながら次々と巣から出てきては宙を舞っていきます。

大竹

これは、巣箱ではなく木の空洞に巣を作った群れですね。樹齢の高い樹木には空洞ができるので、自然の状態ではこういう場所に巣をつくるんです。しばらく様子を見てみましょう。

マサ

どんどん蜂が出てきますね。

大竹

分蜂では、新しい女王蜂を守るために巣に残るものもいるので、全部の働き蜂が出て行くわけではありません。
前にいた女王蜂が連れて行く働き蜂は、半分くらいだといわれています。
もうしばらくすると、だんだん群れになっていき、蜂球になりますよ。


…ところが、しばらくすると群れは巣の周りからいなくなってしまいました。

マサ

あれ、どこかに行ってしまいましたね…

大竹

どこか別の場所で蜂球を作っているんでしょう。