第3回 ベテラン職人が語る、作業の大変さとは?

今回は染物作業の一部を体験させていただくことになりました。体験する前に、まずはどのような作業をしているのかを見学。その際、いろいろとお話を聞かせてもらったのが、昭和26年(1951年)から永勘染工場に勤めるというベテラン職人の伊藤さんです。

伊藤さんは七郷堀で染物を洗っていた時代を知る職人の一人。「冬場はとにかく水が冷たくてねぇ。手にあかぎれが出来て、それはもう大変でした」と、当時を振り返ります。今ではお湯を使って手袋をしながら作業をしますが、昔はもちろん素手。想像するだけでも、全身が冷たくなってきました。

伊藤さんが親方から一人前と認められたのが15年目のこと。「僕は天気予報に携わって8年目なので、一人前にはまだまだですね」と話すと、「いや~、天気予報には毎日助けられていますよ」との返事が。

染物を天日干しにするには、やはり天気が非常に重要。一滴でも雨に濡れてしまえば染物がダメになってしまうため、雨が降りそうな時は空の変化をとても気にしながら作業をするといいます。

雨が続く梅雨の時期は、工場内に6~7個のストーブをたいて乾かしますが、「汗がダラダラ流れてきて大変です…」と、伊藤さんは苦笑しながら話してくれました。