『広瀬川の魅力について』

●聞き手

広瀬川の清流を守る条例」というのがありまして、仙台城や経ヶ峰など保全する区域に指定し、川沿いの景観を守るために取組みを行ってきました。
しかし、ここまで(崖から下の眺めを見ながら)住宅地がせまっていると、それも限定的なものになっています。さらに魅力を発信する上で、どういったものが効果的なのでしょうか。

●あんべさん

川沿いをゆっくり散歩できるスペースがもっとあると嬉しいですね。季節の変化を楽しみながらね。
ところで、この川沿いに住む人は、こうした景観を望めてとても羨ましいですね。もっとそれが市民のものになれば良いと思う。
それと、河原には、石や岩などがあり、おじいちゃん、おばあちゃんには辛いですね。

●聞き手

今、国の河川事業でもスロープを作って親水空間を作ろうというのがあり、バリアフリー的な取り組みが進められています。

●あんべさん

試験的にでも、どこかそういった空間があるといいな。デッキのような所で、音楽を奏でられたらいいと思う。

●聞き手

京都の鴨川のようにですね。

●あんべさん

ああ!そうですね。

●聞き手

広瀬川に人を呼ぶということになると、NPOや市民活動団体の方々が中心になって、上流から下流にかけて、一斉に清掃するというようなイベント「広瀬川1万人プロジェクト」(※2)というのがあります。広瀬川の魅力が、みなさんに分かっていただければ、我々もうれしいと思います。

●あんべさん

川下りはできるんですか?

●聞き手

区間は限られますができます。仙台市カヌー協会さんでは、カヌーで川を下りながら清掃活動をされています。

●あんべさん

距離を決めての川下り競争などもいいと思いますね。きちんと、メディアにも取り上げてもらって、アピールをしていくのは大事だと思います。それに音楽が加わることもおもしろいんじゃないですか?

●聞き手

毎月、地区河川愛護団体の方がボランティアで清掃活動はされてるんですけど、どうしても年配の方が中心になっていて、お子さんを連れてくるというのは、なかなか難しいようです。

●あんべさん

そうですね。ところで、ワケルくんは、どうなっているのですか。

●聞き手

川辺まで、ワケルくんは出てきてないですね。

●あんべさん

ワケルくんは必要です。ワケルくん一族で、川辺ワケルくんみたいな人がいても良いのではないですか?

●聞き手

そういう案は使えそうですね。なるべく、環境に負荷をかけず、何か啓発的なものをやるというのは、もうひとアイディア必要ですね。

●あんべさん

心ある人たちが集まって、それを継続的に地道に作り上げていけたら、それが本当は一番なんです。
自分もそうですけど、川沿いに住んでいる人たちは、広瀬川は自分たちが守っていく川なんだという思いを忘れずにいたいですね。今は、町内会的なネットワークも崩れかけているので、それに代わる地域的なつながりをもっていくことは大事ですね。

●聞き手

ちょうど、団塊の世代の方が退職をされて、ボランティア活動へ、という方も多いと思うんですが、何か、きっかけがあればよいと思うのです。
米ヶ袋の辺りを、よく自転車で散歩されるそうですが。

●あんべさん

ええ、自転車はよく乗ります。

●聞き手

今日、「広瀬川ライフ入門」という企画で、広瀬橋から閖上まで約10㎞を自転車で走ってきましたが、頑張れば一時間ちょっとで河口まで行けるんです。

●あんべさん

えっ、本当ですか。

●聞き手

途中、下流域になると、畑が多くなって、川が見えない場所もありますが、とても気持ちがいいです。米ヶ袋の辺りも散歩などには、とても良い所ですよね。
前回、インタビューした伊坂さんも、そこで、創作活動をされたこともあるということでした。

●あんべさん

仙台は、自転車が走りやすい街ですよね。歩道も広いし、コンパクトで自転車で十分用が足せますね。

●聞き手

広瀬川は街からも近いですし、自転車の魅力も発信していければいいですね。
自転車もそうですけれど、広瀬川の魅力発信のためには音楽の力も借りたいと思うのですが、映画「オハイエ」でもそうでしたが、幅広い層からの参加を呼び掛ける上では、音楽の力が一番かな、と思うのですが、いかがなものなのでしょうか。

●あんべさん

仙台発の文化的なところでいうと、ジャズフェスのようなスタイルが、いろいろな町村で開催されるようになってきて、広がっていくというのは自慢していいと思いますね。
ラジオ番組をやっていて感じるのは、今まで気づかなかったこと、小さないいことがどんどん芽吹いてきているんですね。だから、もっともっと、仙台が素敵な街になっていく可能性が感じられます。

●聞き手

市民の方のちょっとしたアイディアですね。

●あんべさん

仙台は、自分たち市民の力ですくい上げられつつあって、そのことが良い形で作用していると思うんです。
過去のダーティーな部分の反動でとして、市民の想いが、まちを変えていくのだと感じます。
自分の周りでは、そうした人たちが多いです。それが、今の仙台の宝物だと思うんです。

●聞き手

東京などに比べ、仙台のそういったものは貴重ですね。そして、それをいかにして発信していくかですね。どうしても行政側は、発信の仕方が堅くなりがちなのですが、求められているのは、柔らかい発想かな、と思うのですが、その辺はどうでしょうか。

●あんべさん

でも、仙台の地下鉄の駅などは、とても感じがいいと思います。ハードなものって、一度作っちゃうと、もう直せないじゃないですか、だから、デザイン的な部分も含めて、慎重にやるべきだと思うし、そういったことでは、うまくいっていると思いますよ。ただ他の都市のように、街並みに関しては、高層ビル、マンションが急速に増えつつありますが、どういった街にしていきたいのか、明確なコンセプトが必要なのではないでしょうか。そうした点は行政側がリードしていかないといけない。
「蔵の町」づくりと称して、蔵のようなものばかりで、アパートなんかも蔵っぽくやって町があるんだけど、それはどうかな、と思います。

●聞き手

仙台市では、広瀬川清流保全条例で、建物の外壁の色については、広瀬川に似合う色を使ってもらうという規制がありまして、この色がいいからといって、勝手に、建てられないのです。
基本は広瀬川の自然にある色合いで、人工的な緑ではなく、ごく自然にマッチするような、暖色系の色合いを使っていただくようにしています。広瀬川から50メートル位の所までの規制なのですが。

●あんべさん

それはいいですね。

※2 広瀬川1万人プロジェクト:「広瀬川1万人プロジェクト」は、100万都市、 仙台市の1%の1万人をキーワードとして、仙台のシンボルである広瀬川の 自然環境を守り、多くの市民が親しめる広瀬川とすることを目的として、 「広瀬川の清流を守る条例」(昭和49年9月28日制定)が公布された、9月に 流域の市民をつなぎ、一斉河川清掃を実施しています。この活動の中で、 広瀬川の魅力を発見し、親しみ、さらには日頃のくらしを見直すきっかけ としていきたいと考えています。

『みなさんへのメッセージ』

●聞き手

それでは最後に、ホームページをご覧になっている、広瀬川を愛する方々に、メッセージをお願いします。

●あんべさん

川は心を癒してくれる存在です。川の流れを見つめながら考えたり、様々なことに思いを馳せる時間が好きです。川を愛する者の一人として、広瀬川をやさしく見守っていきたいですね。

●聞き手

ありがとうございました。
最後にツアーなどのお知らせなどありましたら、お願いします。

●あんべさん

ベストアルバム「イーハトーヴタイム」と初めてのDVD「ライヴ・イーハトーヴタイム」が、徳間ジャパンより出ています。
11月4日には、Zepp仙台でライブがありますので、是非お越しください。