日本野鳥の会 宮城県支部 坂野恭子さん
仙台市の中心部を流れる広瀬川は、多くの自然の恵みをもたらしています。
そしてその恩恵を受けているのは私たち人間のみではありません。
本稿では、広瀬川と隣接する青葉山に集う野鳥を観察する青葉山探鳥会を中心に、この近辺で観察できる野鳥をご紹介致します。
■青葉山探鳥会
日本野鳥の会宮城県支部では、毎月第1日曜日の早朝、青葉山探鳥会を開催しています。探鳥会とは、文字通り、鳥(野鳥)を探し、観察する会で、どなたでも参加できます。集合場所は仙台市博物館入口の五色沼付近。「日本フィギュアスケート発祥の地」の石碑のある辺りです。集合時間は、4月から10月は午前6時、11月から3月は午前7時、事前申し込みは不要です。すがすがしい朝の空気を吸いながら、野鳥を観察します。歩きやすい服装に靴、帽子、筆記用具を忘れずに。お持ちの方は、双眼鏡や図鑑も。
■探鳥会で観察できる野鳥
1年間に12回開催される、この青葉山探鳥会ですが、季節の移り変わりとともに、観察できる種が入れ替わります。
野鳥は大まかに2つに分類されます。ひとつは「留鳥(りゅうちょう)」、もうひとつは「渡り鳥」です。「留鳥」は留まる鳥、つまり1年を通してある地域内に生息している鳥、「渡り鳥」は例えばハクチョウやガンのように季節の移り変わりとともに生息地を変える鳥です。
青葉山探鳥会では、留鳥や季節毎に北や南から渡ってくる渡り鳥、さらに、渡りの途中で立ち寄る鳥など、年間を通じて数十種類を観察することができます。
また、青葉山探鳥会のコースには、五色沼、長沼、広瀬川といった水辺と、都市公園や周辺の森が含まれますので、水辺の鳥と山野の鳥の両方を観察することができます。このような理由から、都市の中心部近郊という立地ながら、年間を通して多様な野鳥が観察できるのです。
では、青葉山探鳥会のコースをたどってみましょう。
■五色沼
探鳥会は、集合場所である博物館入り口の五色沼からスタートします。
まずは、探鳥会で一番の人気者を探しましょう。沼に突き出た枝の先、小さなコバルトブルーの鳥がいます。カワセミです。嘴くちばしが長く、特徴的なシルエット。あっ、水に飛び込みました。銀色に輝く小さな魚をくわえて枝に戻ります。魚の向きを変えて頭から飲み込みました。鰓えらが喉にひっかからないように向きを変えるのだそうです。嘴が真っ黒ですね。これはオス、メスは下嘴が赤いのです。
対岸の低木と水面の境目、薄暗いところに潜んでいるのは、カモの仲間、オシドリです。オスの黄金色の銀杏羽いちょうばがきらり輝いています。その隣に寄り添っているのはオシドリのメス。地味な灰色をしていますが、目の周りの白い縁取りがチャームポイント。目じりがちょっと下がっているように見えてなかなかの美人です。仲の良い夫婦の代名詞「オシドリ夫婦」、実は、繁殖期毎に相手を変えるといわれています。五色沼や隣接する長沼では、オシドリは一年を通して観察できる鳥ですが、このように都市部で身近に観察できる例はさほど多くないようです。