vol.11 変わりゆく広瀬川の風景に思いを寄せる

フリーライター/西大立目祥子

郡山堰付近から市街地中心部を望む(撮影/小野幹)

宮城県沖地震の数年前から、仙台の市街地中心部には、大きなビルが増え始めた。昭和54年10月

■川の向こうにマンションが増え始めた頃

これは見慣れた風景だ、と思った。郡山堰近くから、広瀬川と市街地を望む風景である。小野幹さんによると、撮影は昭和54年10月。宮城県沖地震の翌年、かれこれ30年近く前の眺めだ。中央の白く四角い建物はシャンボール石名坂、その左手でひときわ高いのがパルメゾン土樋。仙台にも大規模なマンションが姿を現し始めた頃である。

写真を手に同じ場所に立ってみた。いま、対岸で何より目立つのは、20階を超えるツインタワーである。堤防沿いにも空間を埋めるかのようにマンションが立ち、左手の市街地中心部に目をやれば、ぎっしりとビルが集積する。写真で目立っていたマンションは、もっと高いビルに隠れ、もう見えない。そして、木立ちは姿を消している。あぁこんなにもビルが増えたんだ、と思わずため息が出た。

そんな中にあって、変わらないのが川である。中洲の変化はあっても、空を映し出すのびやかな空間と堰から落ちる水のしぶきはそのままだ。自然の息吹をたっぷりと感じさせてくれる。都市を流れる川の大切さ、そのかけがえのなさが身にしみた。

同じ地点から

点在していたビルは、その数を増して、視界をさえぎるようになった。宮沢橋付近にはタワーがそびえ立つ。