■川の水量を安定させるには

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天水桶 人間活動によって流域内の市街地が増えると、流域にもたらされた降雨は、より速やかに河川に流出し、しかも短時間により多くの流出量となり、下流域や市街地自体に浸水被害を引き起こすことになってしまいます。このような浸水を、都市型洪水と呼んでいます。
このような浸水を防ぐため、雨水を一時貯留する雨水調整池などが設置されますが、それだけでは十分な効果を期待できないことも出てきています。上流域の住民が、少しでも下流域への負担を軽減したり、自らの地域の浸水を防止するため、身近なスケールでの雨水貯留に取り組むことも大切です。「仙台リバーズネット・梅田川」と言う市民団体が中心に取り組んでいる「仙台天水桶」は、個々の家庭で設置できる雨水貯留施設です。このような施設が流域内に広がり、河川流量の大きな変動が抑えられ、河川に安定した水量が流れるような姿になることは、河川を仲立ちとした上流と下流のつながりが作られている流域の姿が映し出されることとも言えます。

■水の濁りと森林の荒廃

流域内の上流の森林地域で樹木が伐採され、裸地化すると、降雨が直接地表面をたたき、表土が流出しやすくなります。流出した表土は、やがて河川に入り、水の濁りとなり、場所によっては、それが沈殿堆積して水生昆虫などの生息空間でもある河床環境を大きく変えてしまいます。このような降雨後の水の濁りが長期化する要因の一つに、上流域の森林の荒廃が挙げられます。そして森林の荒廃や裸地化は、やがて流域の保水力を弱め、安定した河川流量の確保を困難にさせてしまいます。森林の保全には、困難な状況がいろいろありますが、河川の水質や水量の保全にとって重要な課題です。治山治水と言われるように、水を治めることと上流の山を治めることは密接に結びついています。つまり、流域の姿が河川に映し出されてくるのです。

■川に映される人の活動

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image このように、川の様子は流域の様子を反映しており、流域の姿を写す鏡とも言えます。それは、森林の様子と言った、自然環境の様子だけではなく、河川清掃活動などその流域に住む人々の川との関わりの様子も映し出してきます。広瀬川は、仙台のシンボルとして多くの市民に愛されてきました。しかし、現在、清流広瀬川を維持していくのに、いくつかの課題も抱えています。その広瀬川をどのようにするか、広瀬川がどのようになるかは、それが流れる仙台をどのような街にするか、仙台がどのようになるかに関わり、そして、そこに住む人々の暮らしが関わってきます。まさに広瀬川は、仙台を映し出す鏡なのです。