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広瀬川データ集

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広瀬川の水質・水量 |水質の状況|水量の状況今後の課題

水質の状況

 広瀬川の水質は、高度成長期の人口増加に伴う生活排水の流入により、1970年代初めをピークとして悪化がみられたが、その後の市民による清掃活動や下水道整備、そして「鮎の生息できる水質条件」を管理基準とした「広瀬川の清流を守る条例」の制定(1974年)などの努力により、めざましい改善をみせ、現在に至っている。現在では、仙台という大都市の中心市街を流れていながら、他の河川と比較しても引けを取らない清流であり、1985年には名水百選にも選ばれている。

全国の都市内河川の水質比較 グラフ:全国の都市内河川の水質比較

※BOD75%水質値は、BODの年間日平均値のデータを小さい順に並べ、0.75×n番目(nはデータ数)のデータ値を指す。環境基準の達成度は、この75%水質値で評価される。

※各川の観測地点は、下記の通り
河川名 広瀬川 石狩川 利根川 多摩川 鶴見川 木曽川
観測地点 仙台市・三橋 北海道江別市・石狩大橋 埼玉県北葛飾郡・栗橋 東京都大田区・田園調布堰上 横浜市・大綱橋 愛知県尾西市・濃尾大橋
河川名 庄内川 淀川 大和川 四万十川 太田川 遠賀川
観測地点 名古屋市・枇杷島橋 大阪府牧方市・牧方大橋 大阪府堺市・浅香新 高知県・大正流量観測所 広島市・玖村 福岡県直方市・日の出橋

 水中の有機汚濁物質の量を示すBOD(生物化学的酸素要求量:微生物が水中の有機物を分解するときに消費される酸素の量)は、下流にくだるにつれて悪化する傾向があり、名取川との合流部直前が最も顕著となっている。しかし、下図に示すように、合流部直前の三橋地点でも水質改善の傾向がみられる。
 一方で近年問題視されているのが、浮遊汚濁物質の増加である。特に降雨時の増加が顕著で、上流部における森林伐採や開発に伴う土砂流出が主な原因の1つと考えられている。また、降雨による濁水がダムに蓄えられ毎日放水され、汚濁が長期化する傾向も報告されているため、1997〜2001年度には湖畔林植樹も行われた。


広瀬川の調査地点と水質
地図:広瀬川の調査地点
出典:仙台市の環境
平成12年度実績報告書
(仙台市/2001年)
調査地点
環境基準類型
BOD
75%値
(mg/l)
大倉川・滝の上橋
AA
<0.5
大倉川・最下流
AA
0.5
広瀬川・ひろせ橋
A
<0.5
広瀬川・相生橋
A
<0.5
新川・山田橋下流
-
<0.5
広瀬川・野川橋
A
0.6
広瀬川・鳴合橋
A
0.5
芋沢川
-
1.6
斉勝川
-
1.4
広瀬川・生瀬橋
B
0.8
綱木川
-
1.1
広瀬川・愛宕橋
B
0.8
広瀬川・三橋
B
1.2
グラフ:大倉川・滝の上橋
グラフ:広瀬川・鳴合橋
グラフ:広瀬川・愛宕橋
グラフ:広瀬川・三橋
※環境基準は、利用目的の類型に応じて異なる。類型AAの場合は、自然環境の保全及び簡易ろ過程度で水道に利用できることを目的として、基準が定められている、類型Aでは沈殿ろ過による水道利用のほか、ヤマメ・イワナなどが生息できる水質を求め、類型Bは高度処理による水道利用などを求める。


水量の状況

 広瀬川の流量の変化については明治時代から問題となっている。維新後の山林の濫伐で流量が減少し、時には灌漑用水にも不足をきたすようになったことから、1890年に量水標を設置し、3ヵ年継続の流量調査が行われている。その後も水量の減少が続き、以前は存在しなかった中州の増加がみられるようになったと考えられる。
 高度経済成長期の山林伐採が盛んであった1960年以降の広瀬橋付近の年平均流量をみると降水量の違いが大きく影響しており、年による変動が顕著であるが、5年間の平均流量の推移をみる限り、この40年では平均水量の減少は認められない。

広瀬橋地点の流量の推移
グラフ:広瀬橋地点の流量の推移
※降水量は1996年まで、流量は1999年まで。出典:流量年報、気象年報より作成

 なお、大倉ダムの完成(1961年)以前の広瀬川の流量は、現在(広瀬橋地点)とは異なる地点で観測されているため、統計データをもって同ダムの完成前後の流量比較を行うことは出来ない。
 流量の年間の変化についてみると、季節による変動が激しいことが読み取れる。降雨期には急激に水位が上昇するが、水量の少ない時期には河床が干上がるほどの変動をみせる。

広瀬橋地点における流量の月別変化
グラフ:広瀬橋地点における流量の月別変化
出典:流量年表第52回(1999年)

 流量が少ない時期は、5〜6月の間であるが、これは農業用の灌漑がこの時期に行われるためである。また、近年の降雪量の減少により春の雪解け水も減少し、これが灌漑期の流量低下に拍車をかけているとの指摘もされている。


 下図は広瀬川水系の取水権の状況を示している。取水権の大きいものとしては発電が目立つが、年間を通してほぼ一定量の取水であり、また発電後は本流に戻される。一方で、各堰による農業用水の取水は、耕作期に集中的に取水されるため相対的な影響は大きい。

広瀬川の主な取水状況地図:広瀬川の主な取水状況


 さらに、2000年大倉ダムの運用状況をみると、ダムへの流入量を超える放流はされておらず、むしろ豪雨による影響のピークをカットしていることが分かる。また、1962年と比較しても運用方法に違いはみられない。

大倉ダムの運用状況グラフ:大倉ダムの運用状況(2000年)

グラフ:大倉ダムの運用状況(1962年)
出典:大倉ダム管理年報

今後の課題

 水質は近年良好な状況が保たれており、今後も市民による清掃や監視と条例の適切な運用により維持されることが望まれる。
ただし、豪雨期などの汚濁については留意する必要があり、土砂流出による濁水を防止するためには、上流域の森林の保護と適切な管理が不可欠である。
 水量確保の面は、降水(降雪量)の変動に影響される点が大きいが、灌漑期の流量低下が水生生物の生息環境の維持において危惧される。川の生態系保全の観点からも、ダムの運用や農業・工業用水の取水等の利水面の見直しも必要となろう。また、年間を通した適正水量を確保する上では、流域の水資源かん養機能の維持が重要である。この面でも上流域の森林の保護と適切な維持が必要であるとともに、市街地内の雨水浸透機能の向上、開発地域における雨水浸透への配慮等が必要となる。


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