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私の広瀬川インタビュー

広瀬川に関心がない人たちにできるだけ広瀬川へ目を向けてもらえるよう、市民にとって身近に感じられる仙台市に関係の深い著名人に、広瀬川との関わり、想い等を語ってもらいます。
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第9回目 伊坂幸太郎さん
伊坂幸太郎さん
平成19年2月13日(火)
13:25〜14:25

聞き手:岩渕有美子(仙台市建設局広瀬川創生室)

『川にまつわる思い出』
聞き手
 高校まで千葉県で過ごされたそうですが、川に関する思い出などは何かありますか。
伊坂さん
 千葉県松戸市に住んでいましたが、松戸でも田舎の方だったので、水田が近くにあるなど自然は身近ではありました。ただ、川というと日本の汚い川のランキングに入るような「坂川」という川が近くにあって、本当に汚かったので、川といえば「誰かが子供の頃、坂川に落ちた」という印象が強いですね。
 後は、少し離れたところに江戸川があって、その土手をダンボールですべって遊んだ覚えがあります。子供の頃に親が連れて行ってくれましたが、川より土手の方が広いイメージですね。
聞き手
 江戸川が地元の川という印象はありますか。
伊坂さん
 いや、親にとっては身近だったのかもしれませんが、僕の当時の行動範囲からすると遠いイメージでした。


『来仙のきっかけと仙台の思い出』
聞き手
 高校を卒業されて東北大学に進学された理由はなんですか。
伊坂さん
 基本的には家を出て一人暮らしをしたかったということです。松戸は東京の大学だと通えてしまうので、東京から離れたところを受けなければと思っていて、そんな時友達が東北大学について教えてくれました。酒がうまいとか東北美人だとか言われて、そこに行くしかない、と思ったのですが、来てみたらお酒は全然飲めなかったし、東北美人もよくわかりませんでしたね。
 松戸では、東北大学は東北の山奥の本当に田舎にあると思っている人が多いですが、子供の頃、NHKの独眼竜政宗が放映されていた時期に来たことがあったので、その時の仙台城のイメージや、過ごしやすそうなイメージ、新幹線があるのでそんなに離れていない、といういい印象があったこともあります。
聞き手
 大学は法学部と伺いましたが。
伊坂さん
 小説が好きだから文学部というのも安易かな、とその時は思ったし、法律の方が知らないことを学べるかなとも思って選びました。
聞き手
 大学を卒業された後システムエンジニアの会社に就職されたとのことですが、法学部とシステムエンジニアは仕事の内容にギャップがありませんでしたか。
伊坂さん
 その会社が法学部卒業生の募集要項を出しているのを見て、僕は著作権関連の仕事だと思ったんですよ。入ったらプログラムを組む仕事でした。社長が見ていたテレビで「プログラムも言語だから文章能力が必要で法学部がいい」と言っていたので法学部卒業生と書いたらしいです。
 子供の時に簡単なプログラムには触ったことがありましたが、根本的には初めてでしたね。どの会社もそうですが現場で勉強させられました。大変でしたがそれなりに面白かった。
聞き手
 プログラムの経験が後に文章を書くときに生かされましたか。
伊坂さん
 それはあまり生かされていないですね。プログラムを組むのは楽しかったですが、小説は小説でした。まったく違うから両方できたのかもしれません。帰ってきて小説書いて眠ってしまうような生活で大変でしたけれども。


『伊坂作品と仙台との関わり』
聞き手
 伊坂さんが小説を書かれたきっかけは何だったのでしょうか。
伊坂さん
 小説が好きだったからです。高校生の時に、「想像力を使って生きる人生は幸せだ」といった内容のコピーが美術評論の本の帯に書いてあるのを見て、小説を書きたいと思ったんですよね。一人暮らしをして書きたい気持ちもあって、仙台に来てこっそり書いていました。
聞き手
 よくお読みになっていた小説はどなたの作品ですか。
伊坂さん
 影響を受けたのは大学で出会った大江健三郎さんの作品で、とても好きです。大学時代にいわゆる純文学と言われるものが好きになって、中上健二さんもよく読んでいました。それまではミステリーも好きで、島田荘司さんの作品も全部読んでいました。
聞き手
 伊坂さんの作品の中で仙台を舞台にされていますが、その理由はなんでしょう。
伊坂さん
 自分の住んでいる街だから嘘がつきやすいんです。例えば、僕が博多の話を書いて博多の人に「博多はこんなところじゃない」と言われた時には「実はこれは作り話だからね」と言い訳をしなくてはいけない。でも仙台であれば住んでいるので、読む人も「知っていて嘘をついているんだな」と思ってくれるじゃないですか。別のところを舞台に納得させられる嘘を書く自信もないですよね。
 また、仙台は川や山や海が街に近いので小説の舞台を作るのに楽というのもあります。東京だったら、海や山に行くとなると車や電車で長い距離行かなければいけない。
聞き手
 仙台市民の方でもなかなか行かない場所も小説に出てきますが、そこには実際行かれたのでしょうか。
伊坂さん
 僕が行った部分も結構あります。街の中なら僕が自分で配置を創作している部分も多いです。「なんちゃって仙台」といったところです。だから映画のロケなどでこの舞台はどこですかと聞かれると困りましたね。
聞き手
 伊坂さんの作品では、舞台設定、登場人物、事件などがよくリンクしていますが、これは創作当初からお考えになっていたのでしょうか。
伊坂さん
 これはデビューして次の作品を書いた時からもう考えてました。最初書いたのは僕にとっては大事な作品で、案山子が話すというとっぴな話でしたが、「くだらなくてばかげている」と思われたので、それを信じさせたかったんです。だから次にリアルな話を書いた時も、このくだらない話と同じ世界で起きていることを伝えたくて案山子の話と繋げていました。最初は前の作品を読んでくれた数少ない読者へのサービスということもありましたし、話が繋がっていたらさかのぼって読んでくれるかな、という期待もありました。


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