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広瀬川研究レポート

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広瀬川下流域の生態系 〜川と海のつながり〜

掲載日:2005年03月22日

 山奥深く湧き出た泉はやがて小さな川となり、生物を育みながら、農業や工業の用水を供給し、そして街を潤しながら海へと流れてゆきます。生命にとって大切な役割を果たしている水について、自然の中の様々な生物の生活や物質の循環を通して考えてみましましょう。私たちがここ数年間、広瀬川下流域とさらに下流の名取川との合流後の河口域を中心にして行ってきた生態学的研究についてご紹介します。

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■下流域に生活している生物たち

 河川下流域には様々な生物が棲んでいます。多くの生物を育てているところなので、"保育場"といわれています。
 まず、広瀬川下流域にみられる魚類は、アユ、ウグイ、ヌマチチブ、ウキゴリ、シマヨシノボリなどです。合流後の河口域にいくと、魚類ではアシシロハゼ、マハゼ、マルタ、シラウオ、ヌマガレイ、イシガレイ、ボラ、ニゴイ、ビリンゴなどがみられます。貝類では、ヤマトシジミ、イソシジミ、アサリ、ソトオリガイなどの二枚貝、巻貝類、チゴガニ、コメツキガニ、ヤマトオサガニなどの小さなカニもたくさん棲んでいます。天気のよい日はチゴカニの華麗なダンスを見ることも出来ます。

■食物連鎖の出発点・・・珪藻

 さて、これらの動物を支えている食物連鎖の出発点は光合成を行なう植物です。川では石や砂の表面に生育する珪藻が、水生昆虫、貝類やアユ、ボラの稚魚などの重要な食物になります。写真は珪藻を光学顕微鏡(写真1)と電子顕微鏡(写真2)で撮影したものです。フナガタケイソウ(理科の教科書にでていますね)とよばれるもので、船底のような形がわかります。10μm(1ミリの100分の一)程度の大きさですが、中に入るとさらに小さな部屋が規則正しく並び、みごとなミクロ建築物です。また、フナガタ珪藻は砂や石の上を自由に動き回りまるので動物のようでもあります。珪藻は水中の栄養素(窒素やリン)を吸収して、二酸化炭素を取り入れて光合成を行ない増殖します。フナガタケイソウのほかにもクチビルケイソウ(写真3)など、世界には2万種類以上あるといわれています。

写真1:河川にみられる珪藻類(光学顕微鏡・100倍)
河川にみられる珪藻類(光学顕微鏡・100倍)
写真2:フナガタケイソウ(電子顕微鏡写真)
フナガタケイソウ(電子顕微鏡写真(2500倍))
(2500倍)
フナガタケイソウ部分拡大したもの (10000倍 )
部分拡大したもの (10000倍 )

写真3:クチビルケイソウ(電子顕微鏡1500倍)
クチビルケイソウ(電子顕微鏡1500倍)


■貝の生活環境

 この珪藻を食物として育っている貝類の暮らしのことも見てゆきましょう。河口の閖上大橋の下に定点を設けて、イソシジミについて、環境条件の違いと貝の成長との関係を調べてみました。図1は環境が異なる場所(閖上大橋の下の6地点)でイソシジミの成長を調べた結果です。成長が最も良い場所のSt.1Dは底の砂が粗く、泥が少ない場所です。成長が悪いSt.Hは泥が多い場所でした。
 さらに底の水の動きを調べてみました。潮の干満により、底土中の水も動きますが、水の動き(交換)がいい場所と悪い場所がありあます。水の交換がよい場所(St.1DとSt.1C)が珪藻の生育もよく、貝の成長もよいのです。
 環境条件と珪藻の生育が結びつき、それを食物とする貝類の成長へ結びついているのです。一方、貝類にはあまり適していない場所は、別の生物の大切な生活の場であり、栄養の貯まり場としての役割があるなど、それぞれの場所の役割が異なることも分ってきました。

(図1)
シジミの成長殻長

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