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広瀬川データ集

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広瀬川流域の植生・植物 |植生の状況|植物の状況今後の課題

植生の状況

 植生自然度の状況から、広瀬川流域の植生の現況を把握する。植生自然度とは環境省が概ね5年ごとに行う自然環境基礎調査の中で、全国の植生を人間に改変された度合いによって、市街地から自然草原までの10段階に分類するものである。
 第3回から第5回の自然環境基礎調査による植生自然度の割合の変化を、広瀬川流域と仙台市域全体について示す。

植生自然度の割合の変化グラフ:植生自然度の割合の変化

 直近の第5回調査結果について、流域と市全体で比較すると、農耕地(自然度2・3)や植林地(自然度6)、二次林(自然度7・8)では大きな差異は見られないが、市街地(自然度1)では、流域に占める割合は市全体より約6%低く、それに対して、自然林・自然草原(自然度9・10)の割合は約8%以上高い。これは、広瀬川流域が仙台の中心市街を包含しながらも、なお市内の豊かな自然をより多く内包していることを表している。下図の自然度の分布状況をみると、川筋に沿って赤い市街地や黄色い農耕地が発達しており、さらにそれを囲むように植林地、二次林が広がっている。また、広瀬川本流や支流・大倉川の源流部は奥羽山脈東麓の豊かな自然林からなり、青葉山一帯の濃い緑が市街地にくい込むように分布している様子が伺える。

広瀬川流域の植生自然度地図:広瀬川流域の植生自然度

 「植生自然度の割合の変化」について、第3回から第5回までの自然度の変化をみてみると、市全体、流域ともに自然林の割合は維持されているものの、二次林や植林地の割合が減少し、変わって市街地の割合が増えている。下に、第4回から第5回で自然度が変化した場所を具体的に示す。大規模な改変は北部の宅地開発の影響が顕著であるが、流域内でも特に中流域を中心に、比較的規模の小さい分散型の市街化が進んでいることが分かる。

仙台市の植生自然度の変化

(第4回自然環境基礎調査・1989〜1992年から、第5回自然環境基礎調査・1992〜1996年への変化
地図:仙台市の植生自然度の変化
※第5回調査において、第4回調査から植生が変化したエリアを示す。凡例は、変化後の植生区分。



植物の状況

 広瀬川流域は、最高標高の船形山山頂(標高約1,500m)から河口に至る幅広い垂直分布を持つことから、上中流域に広がる広葉樹林や下流域の湖沼の水生植物、河口部の海岸砂丘植物など、豊かな植物相を有している。「広瀬川流域の自然環境」(仙台市/1994年)によると、流域で確認された維管束植物は合計141科1333種を数えている。
 上流域に着目すると、その多くは東北地方の特に奥羽山脈を代表する植生であるブナ林に覆われており、流域全体に占める割合は約22%にも及んでいる。また、広瀬川の流域は、上流部分の幅が広いこともあって、仙台市内のブナ林の約7割が、広瀬川流域に分布している。

ブナ林の分布
地図:ブナ林の分布
※ブナの自然林、二次林の両方を含んでいる。

 落葉広葉樹であるブナ林は保水能力が高く、広瀬川の水源涵養林として重要な役割を果たしている。かつて船形山では、標高300m以上でブナの自然林が見られたが、戦後から高度経済成長期の拡大造林に伴って大規模な伐採が進み、現在では標高1,000m以下では自然林はほとんど残っていない。1980年代以降は以前のような大規模な造林化は行われなくなったものの、択伐や開発に伴う伐採はみられ、自然環境基礎調査の第3回(1983〜1986年)と第5回調査(1992〜1996年)の比較では、約31haの自然林、二次林を合わせたブナ林が消失している。
 また、下流域に着目すると、広瀬川の代表的河辺林として、ヤナギ群落がある。シロヤナギ、オノエヤナギ、ネコヤナギ等のヤナギ類の群落である。これらは、下流域や河口付近の三角州で、粘性の高い泥土があり、地下水位が高いところに、まとまった群落を形成する。

 

今後の課題

 広瀬川流域の多様性に富んだ生態系を維持するため、上流から下流に至る各地域で特徴的、あるいは希少な植生の保全を進める必要がある。
 特に上流域では、豊かな自然と広瀬川の水量の確保、土砂流出防止などの理由から、ブナ林の保護に配慮が必要である。

 


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